不動産の減価償却を計算する方法は?定額法と定率法の違いも解説

不動産投資で収益があった場合は、原則として確定申告が必要になります。
その際に大きく関わってくるのが「減価償却」で、不動産投資を行う人はよく理解しておきたい項目です。

今回の記事では、不動産投資における減価償却とはどういうものか、減価償却の2つの計算方法、減価償却を計算する際の注意点などを解説していきます。

 

不動産における減価償却とは?

多くの人は、居住用・投資用などさまざまな用途で不動産を所有しています。
国によって不動産の資産価値に対する考え方は異なりますが、日本ではどんな用途であれ、所有しているマンションなど不動産は、経過年数とともに建物は劣化して資産価値が下がっていくものとして位置付けられています。

このように年数が経つにつれて下がる不動産の価値の費用を「減価償却」と呼んでいるのです。

この減価償却は、所有している不動産の耐用年数の期間中、購入額を分割し経費として計上していく形となります。そして不動産投資では、減価償却が以下の4つのポイントで解説してきます。

 

不動産収入がある場合と不動産を売却する場合に必要

アパート経営・マンション経営などにより家賃収入がある人は、不動産収入を所得として確定申告しますが、その際に経費として計上できる減価償却を計算する必要があります。
また、マンション売却による収益があった場合には、減価償却を計算して不動産譲渡所得を導き出します。

 

建物だけが対象になる

不動産には土地と建物が含まれますが、土地は劣化しないため、建物のみ減価償却として認められています。

そこで減価償却の計算では、建物だけの価格を出すことになります。
この建物には設備も含まれます。

 

定額法と定率法がある

減価償却の計算方法では「定額法」「定率法」という2種類があります。

「定額法」は、建物の耐用年数が経過する期間中、一定の額を毎年減価償却していくという計算方法です。
初期は利益が出るケースが多いですが、経年劣化により収益性が下がったり、修繕費用がかかったりした年には税金が高くなる傾向にあります。

一方、「定率法」とは未償却の残高から一定の割合で減価償却を計算するという、逆の方法です。
効果も逆になりますので、収益性が下がる時期には負担が小さく、初期には利益が出ないケースが多いという特徴があります。

建物の取得日により、どちらの計算方法を利用するかが決まります。

平成28年4月1日以降に取得した不動産の建物本体については、定額法のみ適用となりますので注意してください。

 

節税効果がある

納めるべき所得税を抑えるには、計上できる経費はすべて計上するのがポイントです。
不動産投資での経費で認められている固定資産税などの支出は、支払ったその年に限り計上できるシステムとなっています。

しかし建物や設備の取得費から計算される減価償却費は、初年度は支出がありますが、翌年からは支出を伴わずとも経費計上ができるという特徴があります。

また、サラリーマンで給与所得がある場合は、不動産所得と合わせて確定申告をすることになりますので、損益通算により結果的に節税効果となります。

 

減価償却費の計算方法

建物は年数の経過に伴い価値が減少すると考え、それを損益計算として組み入れる会計上の考え方があります。
これが減価償却といわれるものです。

ちなみに土地は減価償却しません

減価償却費の計算の際には、まず、構造または用途に応じた「法定耐用年数」を確認する必要があります。
「住宅用」で使用する法定耐用年数をまとめたものが次の表です。

 

構造・用途

「住宅用」法定耐用年数

鉄筋コンクリート(RC)

47年

れんが造、石、ブロック

38年

重量鉄骨

34年

軽量鉄骨

鉄骨厚3mm~4mm以下

27年

鉄骨厚3mm以下

19年

木造

22年


参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)

 

法定耐用年数が判明したら、次は償却率を導き出します。
償却率を算出するには複雑な計算が必要ですが、国税庁のHPで「減価償却資産の償却率表」という早見表を公開しているため、そちらで確認してください。

「平成19年4月1日以後取得」という欄を参考にして、建物の法定耐用年数に当てはまる数値を調べましょう。

 

新築の場合の耐用年数は、法定耐用年数と同じ年数です。
中古の場合は変わりますので、後述して詳しく説明します。

建物価格(取得費)は、売買契約書に記載されている建物の価格を使います。
もし、売買契約書に建物価格が記載されていない場合には、以下の2つの計算式どちらかを使って建物の取得費を出してください。

 

建物価格 = 不動産(土地と建物)の購入価格 ×(建物の固定資産税評価額 ÷ 不動産の固定資産税評価額)

 ※建物価格は、工事費の割合を確認して、建物と建物設備に分けることができます。

 

建物価格 = 不動産購入時の消費税額 ×(1.08 ÷ 0.08)

 ※消費税8%の場合の割戻し計算
 ※消費税は建物・設備部分に課税され、土地には課税されません

 

定額法の場合

「定額法」を使った不動産の減価償却費は、以下の計算式で出すことができます。

 

建物の取得価格 × 償却率 = 減価償却費

 

この減価償却費を法定耐用年数で均等に割り、確定申告ではその金額を経費として計上します。

 

定率法の場合

「定率法」での計算式はこのようになります。

 

建物(設備)の取得価格 - 前年度までの償却率総額 × 償却率 = 減価償却費

 ※購入した年は「所得価格×償却率=減価償却費」

 

建物設備についてはどちらの計算方法でも減価償却費を出すことが可能ですが、建物の減価償却費は定額法が適用されます。
建物と建物設備を合わせるために「定額法」を用いることになります。

 

減価償却の注意点

不動産の減価償却を計算する場合、建物の経過年数や取得費によって条件が違ってきます。

 

中古物件の場合は耐用年数が変わる

不動産投資として中古物件を購入した場合には、中古物件の購入価格が、同じ商品の新品を購入した場合の50%(半額)以上である場合は、法定耐用年数が適用される仕組みとなっています。
但し、建物の価値は法的にすでに下がっている途中と見なされますので、一般的には耐用年数も短くなります。

中古物件価格が新品価格の半額以下である場合、もしくは半額かどうか分からない場合は、以下の計算式で減価償却費を出します。

 

構造別法定耐用年数 - 築年数 +(築年数 × 0.2)= 耐用年数

 

購入した中古マンション(RC造)の築年数が20年だった場合を考えてみましょう。
RC造の建物の法定耐用年数は47年ですので、

 

47年 - 20年 +(20年 × 0.2)= 27年 + 4年 = 31年(耐用年数)

 

築年数がかなり経過している中古物件の場合は、築年数が法定耐用年数を超えているケースもあるでしょう。
その場合の耐用年数はこのようにはじき出されます。

 

構造別法定耐用年数 × 0.2 = 耐用年数

 

購入した中古アパートが軽量鉄骨造(鉄骨厚3mm以下)で、築年数が20年だった場合を考えてみましょう。
軽量鉄骨造(鉄骨厚3mm以下)の建物の法定耐用年数は19年ですので、

 

19年 × 0.2 = 3年(耐用年数)

 

となります(端数は切り捨ててください)。

 

取得費が10万円未満のものは減価償却が不要

資産には建物の他にインターホンといった建物設備もあります。
このような建物設備がすべて減価償却の対象となるわけではなく、取得費により以下のように制限が設けられています。

 

取得価格10万円以上で使用可能期限1年以上の資産 = 減価償却できる対象となる

 

10万円に満たない建物設備などの資産は、税法上で減価償却資産とは見なされませんので注意しましょう。

 

まとめ

特にアパート経営などの家賃収入で定期的な収益性を求める不動産投資では、設備管理費など支出もある程度かかります。
そこで大切になってくるのが減価償却費です。

減価償却とはどんなものなのか、そして正しい計算方法を知っておくことで、節税効果も変わります。
知識としてしっかりと身に付けておくようにしてください。

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