不動産売却を代理人に任せたい!委任状の書き方や注意点を詳しく解説

\ 当サイトおすすめコンテンツ /

不動産投資をしていますと、投資物件を売買する機会が出てきます。
不動産の売買契約では、本来は売主(物件所有者)買主(購入希望者)、そして仲介役(不動産会社)の3者が立ち会って行います。
さまざまな理由で所有者本人が立ち会えないという場合には、代理人に任せることも可能です。

 

不動産の売却を代理人に任せたいという場合の方法や委任状の書き方、注意点を解説していきます。自分が代理人となって不動産を売却する場合の手順もご紹介しますので、参考にしてください。

 

不動産売却を代理人に委任するのはこんなケース

物件の所有者が代理人を通して売買契約書をかわすケースには、以下の5パターンがあります。

 

売却する不動産が遠方にある場合

所有者の居住地は北海道で、不動産投資用に東京の区分マンションを所有しているなど、売却したい物件と居住地が離れている場合は、代理人を立てて売却手続きを依頼するというケースは多いです。

 

売却手続きの手間を省きたい場合

サラリーマンなど会社に勤める傍ら、副業として不動産投資を行っている人も少なくありません。

本業が忙しくただでさえ休日返上になりがちな人では、売却手続きの時間を融通できない場合もあるでしょう。

 

また長期の入院を予定していたり、療養中であったりなど、契約者本人が体調不良で売却手続きに立ち会うことが難しい場合も、代理人を立てて委任することが可能です。

 

自分で売却手続きをするのに不安がある場合

不動産投資を行っていて今回初めて物件を売却するという人や、所有者が高齢のため誰かに任せたいなど、売買契約書をかわす際に不安を感じるケースでは、信頼できる親族や弁護士などに代理人を依頼することもできます。

 

共有持分の不動産を売却する場合

1つの物件を複数人で所有しているというケースでは、兄弟姉妹で親の遺産である実家を相続した場合などが挙げられます。

 

相続遺産を全員で分割するためには、遺産物件を売却する必要があり、遺産の物件を相続人全員が立会いのもとで契約手続きや引き渡しを行わなければなりません。

遺産相続の手続きは手間がかかる上、相続人が一同に集まるのもなかなか難しいものです。
協議離婚による財産分与で物件を売却する場合でも、さまざまな理由でお互いに顔を合わせたくないということもあるでしょう。

 

このようなときに助かるのが代理契約です。
委任状を作成し、代理人にお願いすることで全員の手間が省けて、スムーズに手続きを進められます。

 

物件の所有者が未成年者の場合

未成年者が物件を所有しているというケースでは、祖父母や親から物件を相続した場合などが挙げられます。
民法上、未成年者(20歳未満、2022年4月からは18歳未満)は物件売買ができませんので、法定代理人の同意が必要となるのです。
そこで多いのが、両親が代理で売買契約の手続きを行うというもの。

 

もし両親がすでに他界している、ほかの理由でいないという場合は、法定代理人として未成年後見人(家庭裁判所選任)を立てることになります。
未成年者であっても結婚している場合は、法律上で成年と見なされますので、物件の売買契約を終結することが可能です。

 

代理人に求められる条件

大きな金額が動く不動産の売買契約で代理人を立てる場合、信頼できる人を選ぶことが最前提となります。
なぜなら、代理人は所有者本人に代わって意思決定をする代理権を持つためです。

 

実際に代理をお願いする際にベストなのは、以下に説明する3つの条件のいずれかに当てはまる人となります。

 

法定代理人

法律によって任命される代理人で、依頼者本人の意思とは無関係となります。
法定代理人には親権者未成年後見人成年後後見人という3つの種類があり、権限が法律上で定められています。

 

任意代理人

不動産の所有者の意思によって信任されるのが、任意代理人です。
法定代理人以外の人に依頼する場合、すべてが任意代理という形になります。
所有者本人が信頼のおけると考える人であれば、誰にでもお願いすることが可能です。

 

逆に、誰かに不動産の売買契約の代理人を依頼された場合、自分が任意代理人(受任者)となることもできます。
任意代理人を立てる場合、信頼できる身近な人や事業でやり取りのある司法書士の先生などに委託するのがベストでしょう。

 

復代理人

復代理人とは、代理人からさらに代理を委託された人となります。

この復代理人の存在が必要となるのは、次の2つのケースに限られます。

 

  • 依頼者から代理を任された法定代理人、もしくは任意代理人にやむをえない事情ができ、売買契約時に立ち会うことが不可能な場合
  • 依頼者が許可した場合

 

復代理人は代理人と同様の権限(代理権)を持つことになりますので、許可する際は委任状内で権限内容をしっかりと確認することが重要です。

 

【補足】使者との違い

不動産売却の取引時に、代理人のほかに、誰かが売買内容や書類など本人の意思を伝える役割を担う場合があります。

これは「使者」と呼ばれる存在になります。


使者は交渉内容を伝えるなど、売買契約で動き回る存在ではありますが、代理人のように代理権を持っているわけではありません。

不動産売買に関係して「代理で来ました」と言われたからといって、その人が代理人であるとうっかり思い込まないように注意しましょう。
代理人と使者では、売買契約時に対する権限が全く異なるためです。

 

不動産売却を代理人が売却する手順

代理人についての内容が把握できたら、代理人を通して不動産を売却する方法を事前によく確認しておきましょう。
以下の4つの手順で進めていくことになります。

 

①不動産会社に相談する

不動産の売買は個人間の取引でも可能ですが、さまざまな書類作成や瑕疵担保責任の扱いなど、プロに任せたほうが安心な工程がいくつもあります。
手数料などの出費を抑えたい、信頼できる人に代理人をお願いしているという場合でも、不動産の取引で発生しうるトラブルを防ぐことは重要です。

 

対策として不動産会社に仲介してもらうのが最も安全だと言えます。
代理人に不動産の売却を委託する場合は、まず不動産会社に相談し、その後媒介契約を結ぶことになります。

 

②委任状を作成する

不動産の売却で代理人を立てる際は、委任状を作成します。
仲介に入る不動産会社が作成してくれることも多いです。


またインターネット上で専門家の作成したフォーマットを見つけることもできますので、自分で作成したり、司法書士に作成を依頼したりすることも可能です。

 

委任状の中で、代理人この委任状に最低限記載する必要のある項目はこちらです。

 

・委任者(物件の所有者)が受任者(代理人)へ物件売却取引を委任し、代理権を付与する旨

・売却物件の詳細
 物件の所在地は、登記簿謄本に記載されているものを記載します。

・売却条件
 価格、手付金・違約金・仲介手数料の金額設定、引き渡し予定日、公租公課の分担起算日、金銭の取り扱い、所有権移転登記申請手続きについて等を明記します。

・委任状の有効期間
 代理人の持つ権限がいつまで有効となるのか記載することで、売買契約後のトラブルを防ぐ手段となります。

・委任者の住所、氏名、自筆によるサイン(押印)
 パソコンで委任状を作成する場合は、自筆によるサインが特に重要となります。

・受任者の住所、氏名

 

売買契約に関して重要な金額や物件の引き渡し日といった情報をしっかりと記載することで、代理人の判断可能な範囲を制限しておくことができます。
細かいところでは「金銭の取り扱い」事項で、売買契約書に添付する収入印紙代・固定資産税などの清算金の取り扱いについても、きちんと明記しておくようにしますと、トラブル防止となります。

 

その他必要な書類をそろえる

不動産の売却で代理人に委任する場合、委任状の有効性を証明するために、以下の書類をそろえておきます。

 

・委任者
 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)、実印、住民票の写し(発行から3ヶ月以内)

・受任者
 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)、実印、本人確認書類(運転免許証、住民票の写しなど公的なもの)

 

本人確認についてですが、仲介役として入ってもらう不動産会社の本人確認も行っておくと安心です。

 

売却手続きをする

代理人は売買契約書、委任状、必要書類を持参し、不動産会社の立会いのもと、買主と売買契約を進めていきます。
宅地建物取引士(不動産会社に所属)による重要事項説明の完了とともに、売買契約が無事に結ばれることになります。

 

不動産売却を委任する際に注意すべきこと

必要事項を記載した委任状の作成が完了し、必要書類もそろえ、当日の流れも心得たら、いよいよ不動産の売却を代理人に委任することになります。
その前に、以下の4つのポイントを必ずチェックするようにしてください。

 

委任状に不備がないか確認する

売却する予定の物件の所在地や表示項目を間違いますと、のちのち大変です。
登記事項証明書、登記済権利証といった公的書類と照らし合わせて、相違がないか、空欄になっている項目がないかしっかりとチェックしましょう。

 

白紙委任状にはしない

委任状による代理人の権限は、そこに明記されている内容に制限されます。
項目を空欄にしたままで委任してしまうと「白紙委任状」となり、代理人が売買契約におけるすべての権限を持てることになってしまいますので注意しましょう。

 

不動産会社が仲介する売買契約では、責任の所在の問題から、白紙委任状で契約を進めることはありません。
しかしトラブルを招かないためにも、委任者側で白紙委任状になっていないか確認しておくことが大切です。

 

代理人にはいつでも連絡をとれる状態にする

代理人が売買契約を進めてくれるからといって、委任者の仕事は終わりではありません。
進捗状況を把握しておくだけでなく、代理権の範疇を超える判断が必要となった時などに、委任者と代理人はすぐに連絡を取る必要があります。


そのために、委任者と代理人はいつでも連絡をとれるようにしておきましょう。

 

「無権代理」と「表見代理」

委任者に依頼された代理人は、委任者に指定された範囲と期間に限って代理権を持つ「表見代理」と呼ばれる存在です。
上記でご紹介した使者や、それ以外の代理人ではない人が代理人を装い売買契約を終結した場合は、「無権代理」ということになり、契約は無効となります。

 

代理人が「表見代理」と見なされ、代理人による制限範囲内の行為や判断によって、万が一トラブルが発生した場合は、委任者(物件の所有者)がその責任を負わなければなりません。
代理人の選定や委任状の内容をいま一度しっかりとチェックしておきましょう。

 

まとめ

副業で不動産投資を行っていますと、なかなか時間を捻り出せず、代理人に不動産の売却を委託する可能性も出てくるかもしれません。

代理人としてお願いするべきなのはどんな条件の人なのか、委任状はどのような項目を必ず記載すればよいのかなどを事前に知っておくことは大切です。

 

時間や手間を惜しんで代理人に依頼しましたのに、代理人の選定や書類に不備があったために代理人を立てた意味がなかった、などといったことにならないように気を付けましょう。

関連記事

\ 当サイトおすすめコンテンツ /

おすすめコラム一覧

コラム一覧に戻る