不動産投資の節税の仕組みとその驚くべき効果とは?

不動産投資は長期的な不労所得を得るだけではなく、節税効果が期待できるというメリットがあります。マンションやアパートを購入して不動産投資した場合、所得税や住民税、相続税といった税金を減額できる可能性があるため、節税のために投資を始める人も多いのです。

ここでは節税対策として、マンションやアパートを購入するメリットとデメリット、実際の節税金額のシミュレーションについて紹介していきます。不動産投資と節税の関係についてしっかりと理解していきましょう。

不動産投資の節税の仕組みを徹底解説

不動産投資は継続的な収入を得られるというだけではなく、節税効果も期待できる投資方法として注目を集めています。不動産投資は株や投資信託を購入する金融投資と違い、実際にアパートやマンションなどの不動産を購入するため、いろいろな経費を計上することができ、課税所得額を減らすことができます。

また、相続時の不動産の評価額を低くすることができるので、相続税を減らす効果も期待できます。

減価償却

減価償却費とは、不動産投資における「物件の劣化」を経費として計上することをいいます。減価償却費を計上すると、不動産投資で得た利益を少なくすることができるので、その結果課税所得額が減り、それにかかる所得税や住民税を抑えることができます。

資産として土地だけを保有している場合、土地は劣化することはありませんので、減価償却費を計上することはできません。

しかし、土地の上に物件を建てて運用する「不動産投資」の場合は、建物の劣化を減価償却費として計上して利益を減らすことができるので、その結果節税につなげることができるのです。減価償却費を計算するには、不動産の取得価格、耐用年数、償却率の3つの数字が必要で「不動産の取得価格×償却率」によって求めることができます。

建物は、その構造によって耐用年数と償却率が決められています。ただし「200741日以前に取得したもの」と「200741日以後に取得したもの」で償却率が異なりますので注意が必要です。

2007年41日以降に取得したものでは、「鉄筋コンクリート(RC)は耐用年数47年・償却費0.022」「重量鉄骨は34年・償却費0.03」「木造は22年・0.046」となっています。不動産取得額にこれらの償却率を掛けた額を、毎年経費として利益から差し引くことができます。

所得税

不動産投資を行うと、様々な経費を計上することができます。経費となる項目は多岐にわたるため、不動産投資における収入よりも経費の支出が多くなることも多く、不動産所得を「赤字」として計上できる場合があります。

そのような場合、本来の所得と赤字の不動産所得を損益通算し、課税所得を圧縮することができるので、その結果税金が減るという仕組みとなっています。

所得税の税率は累進課税となっているため、課税所得が少なくなると、所得税率も下がる可能性があります。このように、損益通算によって圧縮できた金額によっては「課税所得と所得税率の両方が下がる」場合があり、その場合は節税効果が大きくなります。

住民税

住民税額の目安は「所得税の1割」とされているため、課税所得額が下がって所得税額が下がると、自動的に住民税も下がる仕組みとなっています。住民税は前年度の所得に応じて決められるため、節税効果は1年遅れとなりますので注意しましょう。住民税の内訳は、都道府県民税が4%、市町村民税が6%となっています。

相続税

相続税は所得税よりも高いことで知られており、資産を持っている人にとっては「相続税の節税」が大きな問題となっています。所得税率の最高税率は45%ですが、相続税では55%となっており、節税対策を行わないと半分以上を税金で取られてしまうためです。

不動産の相続は「土地の評価額」を元に計算されますが、マンションやアパートなどの不動産は「時価よりも低い価格で評価される」という仕組みになっているため、現金で相続するよりも不動産を相続する方が節税できるという特徴があります。

土地は実勢価格の8割ほどの路線価や、34割安い固定資産税評価額で評価されます。また、上に建築されている建物は建築費用より25割低く評価されるため、相続時には実際の不動産の価格よりも低い評価額を使って相続税を計算することができるのです。

また、建築されてから年数が経つと建物の評価は下がっていく仕組みとなっています。将来の相続に備えて早めに不動産投資を開始しておけば、相続時の建物の評価額が低くなり、より節税効果が高くなります。

贈与税

土地や建物を贈与する場合は「贈与税」がかかりますが、この場合も相続税と同じように、現金で贈与するよりも土地や建物に換えて贈与を行った方が、税金を低くすることができます。

また、「相続時精算課税制度」を利用して生前贈与を行うと、より税金を抑えることができる仕組みとなっています。

この制度の適用条件は、「贈与者が贈与する年の11日に60歳以上の父母か祖父母であり、受贈者は11日に20歳以上かつ贈与者の直径卑属(子供や孫)であること」となっています。

この条件を満たし、相続時精算課税制度を利用すると、特定の人から2,500万円までの財産を非課税で受け取ることができるのです。現金ではなく土地や建物の状態でこの制度を利用すると時価よりも低く評価されるため、実質2,500万円以上の贈与ができることとなり、大きなメリットとなります。

経費に計上して所得税を削減しよう

不動産投資ではさまざまな経費計上が認められており、それらをもれなく計上することで利益を圧縮して課税所得を減らし、所得税を削減することができます。

ただし、経費として計上できるもの、できないものをしっかりと理解しておかないと、修正申告などの手間がかかりますので注意が必要です。不動産投資における経費とは「不動産投資の収入を得るために生じた支出」と理解しておきましょう。

経費に計上できるものとは

不動産投資の経費は、以下の項目が認められています。特に減価償却費は金額が大きく、利益圧縮に大きな効果が期待できますので、建物や付属設備の償却費をもれなく計上するようにしましょう。

①管理費

・エレベーターや電灯など、建物に付随する設備の保守や点検費用

・消防設備などの法定点検業務費

・共用部分の清掃費用

・管理組合のサポート

②賃貸管理代行手数料

・賃貸管理組合に支払っている費用

③修繕積立金

・建物の将来の劣化に備えて積み立てておくお金

④損害保険料

・火災保険料や地震保険料など、損害保険会社に支払っている費用

⑤借入利子

・建物のローン返済額の利息部分

⑥租税公課

⑦減価償却費

・建物だけではなく、建物に付属している設備や器具の備品も償却可能

⑧不動産の管理や運営にかかる交通費

・管理会社との打ちあわせや物件の確認のためにかかった交通費

⑨新聞図書費

・不動産投資や税務などに関わる書籍を購入した費用

⑩通信費

・不動産管理会社との連絡に使用した電話料金

⑪税理士費用

・税理士に支払う費用

経費に計上できないものとは

不動産投資の経費に計上できないものとしては、オーナーに関わる私的なものが挙げられます。例えば、修繕費であったとしても、投資物件ではなく自宅の修繕費の場合は計上することができません。

経費を多く計上したいあまり、投資物件とオーナーに関わる出費があいまいになってしまうと、脱税と見なされる場合がありますので注意しましょう。経費計上できないものの例は以下となっています。

①自宅に関わる修繕費や保険料

・自宅の修繕費や火災保険費、地震保険費など、不動産投資物件に関わらない費用

②不動産売却損

・土地の売却損は「譲渡所得」となり分離課税で計算されるため、不動産所得と合算して損益通算することはできません。ただし、不動産売却における中期手数料や測量費、立退料、建物の取り壊し費用は経費として計上することができます。

③建物のローン元本部分

・ローンの利息部分は経費に計上できますが、元本部分はできないこととなっています。

不動産投資の節税効果をシミュレーションで確認

不動産投資を行って赤字経営だった場合は、本業の収入と不動産投資における収入を合算することができるので、課税所得額を下げ、所得税額と住民税額を低くすることができます。所得税は、課税所得額に応じて税率が決められており、以下のようになっています。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円を超え 330万円以下

10%

97,500円

330万円を超え 695万円以下

20%

427,000円

695万円を超え 900万円以下

23%

636,000円

900万円を超え 1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円を超え4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

そして、住民税額は所得税の10%ほどとなっています。例えば、本業の課税所得額が700万円の場合は、所得税と住民税の計算は以下のようになっています。

・所得税  700万円×23-636,000円=974,000

・住民税  974,000円×10%=97,000円   

・合計1071,000

ここで、不動産所得を考えてみましょう。不動産所得の金額は「総収入金額必要経費」となっており、まとまった金額の償却費や固定資産税、管理費などを経費として計上できるため、実質赤字になる場合も多くあります。

家賃収入を得ながらも、様々な経費の計上で100万円の赤字となっている場合、その損失と700万円の課税所得を損益通算し、課税所得を「600万円」とすることが可能です。課税所得が600万円の場合の税額を計算すると、以下のようになります。

・所得税 600万円×20%-427,000円=773,000

・住民税 773,000円×10%=73,000円     

・合計846,000

このように、不動産所得の赤字を利用することで、課税所得を少なくし、税額を抑えることができます。

この場合、不動産投資は赤字ではありますが「経費による赤字」という側面が大きく、実際は家賃収入を受け取っていることになりますので、不動産投資で収入を得つつも、節税もできているということとなり、メリットが大きくなっています。

節税対策で不動産投資をするデメリットとは

不動産投資の目的は、あくまでも「長期にわたる安定した収入を手に入れる」ということです。しかし、投資にはリスクもあるため、不動産投資にはいくつかのデメリットも考えられます。

これらのデメリットを理解しないまま、節税対策で気軽に不動産投資を始めると、投資に失敗してしまい、大きな損失が出る場合もあります。不動産投資を始める前に、デメリットもしっかりと理解しておくようにしましょう。

収入による税金の増加

不動産投資のパフォーマンスが好調な場合は、収入が増えることになり、その結果納める税金も多くなりますので注意が必要です。

不動産投資が好調な場合、毎月の賃料がしっかりと入るため、経費を差し引いても年間収支が黒字になります。その場合は、本来の収入と不動産収入を足した額を「課税所得」として申告することになるため、所得税率が上がり、納税額も多くなることを想定しておかねばなりません。

ただ、税金を多く納めるということは、収入も多くなっているということなので、投資としては成功していると言えます。

物価下落による資産価値の低下

不動産投資をしている場合は、物価下落による資産価値の低下に注意する必要があります。不動産投資は長期投資のため、何十年も土地や物件を所有することになりますが、その間に社会情勢や経済情勢が変化し、資産価値が大幅に低下してしまう場合もあります。

建物の1平米当たりの評価額は、築年数が長くなるごとに低下する傾向にあり、新築時と築30年時の単価を比べると、半額以下になる場合もあります。将来投資物件の売却を考えている場合は、資産価値の低下にも注意が必要です。

赤字経営による金融機関の印象悪化

不動産投資で節税を行いたい場合は不動産所得を赤字にする必要があります。しかし、赤字が続いていると融資を受けている銀行から「不動産投資がうまくいっていないのではないか」「きちんと返済することができるのか」と思われる可能性があり、注意が必要です。

赤字経営であってもあまり問題がないのは最初の2年間で、それ以降は黒字経営に移行できるようにしないと、銀行からの信用がなくなり、追加で融資を受けたい場合、審査に通らない場合もあります。3年目からは黒字転換できるように、空室率を低くする努力をすることが大切です。

不動産投資の節税で初心者が読むべきおすすめ本3

不動産投資による節税は専門的な知識も多いため、本を読み、投資における知識をつけることが大切です。

昨今はインターネットでいろいろなことを調べられる時代ではありますが、本は必要な知識を体系的にまとめ、知識も正しいことのみが記載されているため、本を読むことで不動産投資の知識を効率的に身に着けることができます。ここではおすすめの本3つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

不動産投資のお金の残し方 裏教科書 税理士大家さんがコッソリ教える

著者は、大家業から税理士の資格を取得した異色の経歴の持ち主です。税理士でありながら、大家の視点からの不動産投資が語られており、不動産投資の法人化のメリット、消費税の還付など、難しい内容もわかりやすく説明されています。

不動産投資の目的は「子供や孫の代に収益を生み続ける物件を引き継ぐこと」という考えが語られており、「不動産投資の価値とは何なのか」を理解できる良書となっています。今後不動産投資を検討している人にも、すでに不動産投資を行っているベテランの人にもおすすめです。

不動産投資専門税理士が教える 不動産投資の「収益計算」本格入門 単行本

不動産投資の収益計算という難しいテーマでありながら、専門用語も少なく、わかりやすく解説されている本です。丁寧に解説されているため、誰でも簡単に不動産の収益計算ができるようになっています。

これから不動産投資を始める人や、税理士にすべて任せていたという人でも、この本を読み、無料で付属しているシミュレーションシートを埋めていくことで、不動産収支を簡単に計算することができます。

売買契約書上の土地と建物金額、減価償却の取り方、運営費用の考え方など、さまざまな知識を得ることができる不動産投資教科書とも言える本となっており、会計や税務の知識がない人であっても簡単に読み進めることができます。

世界一やさしい不動産投資の教科書 1年生

不動産投資の知識をしっかりと学べる1冊です。物件探しから購入、運用において必要な知識がわかりやすくまとめられており、初心者でも理解しやすいように工夫されているため、これから不動産投資を始めようとする人にも最適な良書となっています。

節税目的のみの不動産投資はおすすめできない理由

不動産投資を行うと、効果的な「節税対策」が期待できる場合がありますが、節税対策ばかりを考えると重視していると、本来の目的を見失ってしまう場合があります。

不動産投資の本来の目的は「長期的な収入を安定して得ること」です。不動産投資を行って毎月賃料を受け取ることで現金収入を増やし、日々の生活を豊かにすることや、老後の備えをすることが一番大切な目的です。

しかし、所得税の節税対策のために毎年赤字経営を続けていると、不動産投資による収入が増えず、逆に損失が膨らんでしまう場合があります。また、相続税対策のために不動産投資を始めた場合、経済情勢によっては相続時の不動産の価値が下がり、資産価値が大きく目減りしてしまうこともありますので注意が必要です。

節税対策のためだけに不動産投資を始めてしまうと、逆に損失が出ることもありますので、不動産投資におけるパフォーマンスを上げることを第一に考えるようにしましょう。

まとめ

不動産投資で効果的な節税を行うことができますが、一番の目的は、投資物件の空室率を抑え、毎月の家賃収入をしっかりと得ることです。

経費や償却費などを計上することで所得税や相続税を少なくできるというメリットがありますが、投資パフォーマンスを上げて毎月しっかりと家賃収入を受け取る方が、節税効果よりも重要と言えます。

不動産投資を始める場合は、節税のことだけを考えるのではなく、経費を計上して節税しつつ、しっかりとした家賃収入を得られるような方針を立てるようにしましょう。

安定した収入が欲しい、さらに節税対策もできれば……とお考えの場合、信頼できる不動産投資会社を見つけることが大切です。

さまざまな不動産投資会社を比較して、ぜひご自身に一番合った不動産投資会社を見つけてください!

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